根尾谷の薄墨桜「”あと500年”を目指したいね」 [本巣市] [花見特集]

樹齢1500年ながら今年も多くの花をつけた(2025年4月7日撮影) 本巣市
樹齢1500年ながら今年も多くの花をつけた(2025年4月7日撮影)
山側から見た薄墨桜。多くの支柱が枝の負担を和らげている(2025年4月7日撮影)
山側から見た薄墨桜。多くの支柱が枝の負担を和らげている(2025年4月7日撮影)

■根尾谷の薄墨桜

 「”あと500年”を目指したいね」

 岐阜県本巣市の北部、旧根尾村の薄墨桜は「日本三大桜」の1つとして有名です。樹齢1500年。6世紀前半、隣の若狭地方出身の継体天皇が植えられたとも伝わっています。なぜこれほどまでに長寿を保ち、いまなお意気盛んなのか。みなさんも知りたいと思いませんか。

幹は苔もつき風格を感じさせる(2025年4月7日撮影)
幹は苔もつき風格を感じさせる(2025年4月7日撮影)

 4月7日(月)。現地に足を運びました。「6分咲き」と言われ、「つぼみは薄桃色、開花するとつややかな白色、そして散り際に薄墨色になるんだよ」と教わりました。
 ちょうど現地には樹木医として薄墨桜の再生に努力されている浅野明浩さんがおられて来場者に解説をされていました。
 浅野さんによると根尾谷の薄墨桜がこれほどの長寿を保っているのは①日当たりのよい場所にある②ミネラル分をたっぷり含んだ地下水が根の周囲を流れている③周辺の杉林が台風などの強風から守ってくれきた④戦後、地域の人たちが最新の科学的見地から新たな保護策を講じて再生治癒に励んできた―などが要因として挙げられるとおっしゃっていました。
 浅野さんは当事者の1人なので控えめにおっしゃっておられましたが、戦後間もない頃には「残念だが、数年以内に枯れ死する」と余命宣告されたこともありました。
 しかし、「神さまの贈りもの。枯らしてはならない」と幹だけでなく大枝の腐食部分をえぐり取って発泡ウレタンで埋めたほか、地中に竹筒を埋め込んで根をつくらせる努力をしたり、雪害対策として大がかりな雪吊りも毎年行っています。

 浅野さんは最後にユーモアたっぷりにこうおっしゃいました。「長寿にはあなたたちが必要なんですよ」。「えっ?」とけげんそうな顔をすると次の答えが返ってきました。

 「来場者が増えれば、行政は保護の補助金を増やしてくれる。それが手厚い保護につながるんですよ。あと500年は生き抜いてほしいからね」

左手前の桜は、薄墨桜の枯れ死を心配して植えられたクローンの子。今では親子そろって人気者
左手前の桜は、薄墨桜の枯れ死を心配して植えられたクローンの子。今では親子そろって人気者

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基本情報

◆〒501-1524
 岐阜県本巣市根尾板所1063
 [本巣市さくら資料館]

◆入場無料(さくら資料館は有料)

◆駐車場あり
 (シーズン中は有料 普通車500円/回)

◆トイレあり

◆外部サイト
https://www.kankou-gifu.jp/spot/detail_921.html

◆お問合せ先
 本巣市観光協会
 [TEL 0581-34-3988]

◆2025年の情報であり、変更される場合があります。

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