
■王滝渓谷の紅葉
王滝(おうたき)の名前に引かれてふらふらと行きました。期待にたがわぬスケールで迎えてくれました。「わたしを見てね」のたおやかな紅葉スポットではありません。「よお、来たな」と武骨に出迎えてくれるスポットです。
最初に梟ヶ城(ふくろうがじょう)展望台に登ってみましょう。標高252メートルとあったので、なめてかかって登ってみたらこう配のきつい坂道の連続。しかも杉などの針葉樹がびっしりにと立ちはだかって眺望もなければ紅葉も見られません。
やっと展望台へ。「引き返さなくてよかった」と思いました。展望台付近はきっと周辺整備をするとき、「わざわざ来た人を歓迎しよう」と植えてくれたに違いありません。モミジやコナラなどの紅葉、黄葉がお出迎え。疲れは一気に吹き飛びます。

そうそう、ここは徳川家康に連なる松平家が最初に腰を据えた場所です。ときは室町時代の前期でしょうか。この梟ヶ城はどうやら眼下の足助街道を見張るための施設だったようです。
晴れた日には鈴鹿山脈や伊吹山も望めます。ちょっとした城主気分も味わえます。「王滝」の名前にふさわしい展望台です。

山の反対側に下ってみましょう。途中、お地蔵さんが鎮座しているので、左に取りましょう。ゆるやかなアップダウンが続き、急激な下り坂が連続したかと思うと仁王川の渓流に突き当たります。
奇岩、巨岩がごろごろと転がっているなかを、水流が躍っています。うれしいことに、その水をたっぷりと吸ったモミジたちは涼しげな顔で渓流を渡る風にそよいでいます。まるで戦場の武者たちのようです。
ここからはゆるやかな道を選んで引き返してもよし、前進してもよし。前進すれば、さらに数カ所の紅葉スポットほか紅葉を際立たせてくれる赤い吊り橋なども待っています。

勇気と時間のある方は、宮川散策路まで足を伸ばしましょう。「散策路」とは名ばかり、足を滑らせれば渓谷に落ちてしまいそうな難修行の場です。でも渓流を彩る紅葉たちが「がんばれ」と声援を送ってくれます。
渓谷を「脱出」すれば、あとは生活道路をゆっくり歩いて下るだけです。紅葉も楽しいけれど、起伏に富んだ渓谷の走破は、もっと楽しいですよ。
園地が5カ所、展望台が2カ所ある広大な総合園地です。入園は無料。駐車場も5カ所あり、古美山園地わき駐車場以外は無料です。

■注意事項
【2024年9月 梟ヶ城址展望台付近で熊の目撃情報がありました】
登山時には熊鈴やラジオ等を携帯し、熊へ人間の存在をアピールするようにしてください。
https://www.city.toyota.aichi.jp/kurashi/kankyou/sizen/1003859.html
■ちょっと寄り道
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■基本情報
◆〒444-2206
愛知県豊田市王滝町與市田
愛知県豊田市豊松町榎ケ入2 (そのまんま公園 駐車場)
◆駐車場あり (古美山園地駐車場以外は無料)
◆入場無料
◆トイレあり
◆外部サイト
https://www.tourismtoyota.jp/spots/detail/19/
◆お問合せ先
松平観光協会
[TEL 0565-77-8089]
◆2024年の情報であり、変更される場合があります。