医王寺のサザンカ [豊橋市]

豊橋市
どこかノスタルジック。柔らかなピンク色の「昭和の栄」(2025年1月17日撮影)
合掌造りの形に整えられた本堂脇のサザンカ(2025年1月17日撮影)

■医王寺のサザンカ

 『日本一のさざんか寺』のキャッチフレーズを掲げている曹洞宗のお寺です。
 もともとは本堂わきに植えられていた大きなサザンカの木のみだったのを、現在の住職・山田正臣さんが「地域のために」と「さざんか寺」として充実させることを決断しました。
 周辺の農地を譲ってもらったり、関係者に働きかけて県営東三河ふるさと公園でスイセンが咲き始め珍しい品種も集めたりと20年にわたる奮闘が続きました。
 いまでは国内の栽培品種の約8割にあたる400品種がそろい、約4000本がびっしりと境内だけでなく、隣接の「さざんか園」を埋めつくしています。
 4000本のうち、なんといっても見逃せないのは本堂わきの大きな1本。高さは8メートルもあり、2020年には豊橋市が選ぶ「とよはしの巨木・名木100選」にも指定されています。
 この名木に関して、山田さんがこんなエピソードを紹介しています。かつて内閣総理大臣だった佐藤栄作さん(在位1964~1972)が関係者の案内で同寺を訪れた際、この名木を気に入り当時の住職に「自宅の庭に移植したい。譲ってほしい」と頼み込んだそうです。
 結局、移植に多額の費用がかかるという理由で佐藤さんはあきらめたそうですが、当時すでに樹齢は200年以上だったそうです。

白地にピンクの斑が入った「絞り笑顔」

 医王寺はかつて現在地の南、太平洋に面した海岸近くにありましたが、1707年10月4日(現在の10月28日)の宝永地震で巨大津波の被害を受け、その後まもなくして現在地に移ったようです。地震が起きたのは、ちょうどサザンカが花開く時期です。そういえば医王寺に限らず、同寺が所在する東細谷町の周辺ではサザンカの生け垣を多く目にします。きっと家族や仲間を失った人たちが鎮魂の意味もあって植えたのでしょうね。

気高く清らかな「パール富士」

ちょっと寄り道


基本情報

◆〒441-3112
 愛知県豊橋市東細谷町字西島96番地

◆駐車場あり(無料)

◆トイレあり

◆外部サイト
https://sazanka-iouji.net/

◆お問合せ先
 曹洞宗 瑠璃山 医王寺
 [TEL 0532-21-1988]

◆2025年の情報であり、変更される場合があります。

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