二川伏見稲荷の御衣黄桜 「御衣黄」に込めた庶民の心 [豊橋市] [花見特集]

満開になるとこんな感じ(過去に撮影) 豊橋市
満開になるとこんな感じ(過去に撮影)
咲き始めた御衣黄桜(2025年4月8日撮影)
咲き始めた御衣黄桜(2025年4月8日撮影)

■二川伏見稲荷の御衣黄桜

 「御衣黄」に込めた庶民の心

 豊橋市大岩町、二川伏見稲荷神社には約20本の御衣黄(ぎょいこう)桜が植えられています。地元の人たちにはとても人気があり、開花期になると入れ替わり立ち替わり。大にぎわいです。
 かなり以前、神社の関係者に「どのようないわれがあるサクラですか?」と訪ねたとき「なあに、園芸業者から買っただけさね」と驚きの回答をくれました。
 しかし、その庶民的でぶっきらぼうな言い方とはうらはらに、御衣黄桜は「高貴な桜」「王朝文化を彷彿とさせる花」として、人気は右肩上がり。いまでは「御衣黄稲荷」とまで評判を取っています。
 気さくな人柄のせいもあって、植樹の場所も庶民的です。駐車場や参道、気の向くままに植えた感じです。
 でも今回ネットでいろいろ調べてみて、このぶっきらぼうが人気にもつながっていることがわかりました。

 江戸時代中期に遡りましょう。誰かが鬱金(うこん)桜と似ているがやや色の濃い枝変わり品種の桜を見つけました。鬱金は戦国時代に刀傷に効く塗り薬にも使われたウコンに似た色から命名されました。
 一方、太平の世を謳歌する江戸時代中期は王朝文化に憧れた時代でもありました。「そうだ。花の萌黄色は王朝貴族が愛したお召し物の色。黄色の御衣だから御衣黄がぴったり」と命名したようです。
 庶民の憧れが生んだ名前。二川伏見稲荷さんの植樹のいきさつとぴたりと重なります。

 戦乱の世が生んだ「鬱金」、太平の世が生んだ「御衣黄」。似た花なのに名の由来はまるで違います。

 桜は重層的な日本文化の上に咲く、文化遺産です。だから私は桜が大好きです。

とくに女性に人気(過去に撮影)
とくに女性に人気(過去に撮影)

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ちょっと寄り道


基本情報

◆〒441-3143
 愛知県豊橋市大岩町西郷内160

◆入場無料

◆駐車場あり(無料)

◆トイレあり

◆JR二川駅から徒歩8分

◆授与所の開設時間 9:00~16:30

◆外部サイト
http://www.futagawainari.sakura.ne.jp

◆お問合せ先
 二川伏見稲荷神社
 [TEL 0532-41-0057]

◆2025年の情報であり、変更される場合があります。

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