三多気の山桜並木 [津市] [花見特集]

棚田の水面が演出する「逆さ(山桜」(2025年4月12日撮影) 津市
棚田の水面が演出する「逆さ(山桜」(2025年4月12日撮影)
妖気漂う枝ぶりの山桜(2025年4月12日撮影)
妖気漂う枝ぶりの山桜(2025年4月12日撮影)

■三多気の山桜並木

 「見ごろは20日ごろまで」

 桜並木と言えば、場所は川堤、公園、街路、そして品種はソメイヨシノが定番ですが、ここ津市美杉町の「三多気(みたけ)の桜」は違います。並木は険しい山道に植えられ、しかも野生種のヤマザクラ。これだけでも訪ねたくなりますよね。

 4月12日(土)の午後、行ってきました。うららかな春の陽気。300台を備えた駐車場ですが、30分の駐車待ち。駐車場から伸びる狭い山道をみなさん、息を切らせながら登っていきます。

 さながら「蟻(あり)の熊野詣で」です。

 この山道は、山の奥にある真言密教の寺院「真福院」へと続く参道のようで、中世には植えられていたという言い伝えがあるそうです。
 ちょっと調べてみると次のことがわかりました。真福院は南北朝の対立時代、南朝方の雄の1人としてこの地を治めた北畠顕能(あきよし)が南朝勝利の祈願所として建立。参道には南朝方が都と陣を構えた吉野(奈良県)にならってヤマザクラを植えました。

 いうなれば伊勢の国の吉野ですね。

まるで古武士。葉の色がいかにも渋い(2025年4月12日撮影)
まるで古武士。葉の色がいかにも渋い(2025年4月12日撮影)

 ヤマザクラはエドヒガンに次いで長寿を誇る桜で、例えるのなら「古武士」のよう。腰は曲がっていても堂々としており、枝につける花数は少ないのですが、すっきりした一重の花は、茶色の葉をつけて咲いています。まるで老従者を伴っていくさに出向くかのようです。

 顕能は神皇正統記の作者である北畠親房の三男といわれており、父や兄が東国武士の切り崩しのために東北へ赴いたとき、吉野へも続く伊勢本街道を守るためにこの地を治めたとされています。

 ちょっと過剰な解釈かも知れませんが三多気の桜は、南北朝時代の遺構と言っていいかもしれませんね。

 参道わきの桜は数百本もあり、国指定名勝のほか、日本さくら百選にも選ばれています。

山桜にはかやぶき屋根がよく似合う(2025年4月12日撮影)
山桜にはかやぶき屋根がよく似合う(2025年4月12日撮影)

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基本情報

◆〒515-3535
 三重県津市美杉町三多気252

◆入場無料

◆駐車場あり(無料)

◆外部サイト
https://www.kankomie.or.jp/event/5705

◆お問合せ先
 津市美杉総合支所地域振興課
 [TEL 059-272-8080]

◆2025年の情報であり、変更される場合があります。

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