■駅から歩いて初詣 名鉄編③尾張地区の支線
愛知県内の名鉄沿線を紹介するこのシリーズも今回で最後です。同じ尾張地区でも熱田神宮、真清田神社、国府宮神社などの正統派の大神社が並ぶのに対して支線は、津島神社は別にして規模はそれほど大きくありませんが個性豊かな神社が並びます。とくに金運、恋愛に個性を発揮する神社が多いという特徴です。
◎瀬戸線
【大曽根駅】(急行停車駅)
◎山田天満宮 歩いて5分
山田天満宮は、いかにも名古屋らしい神社です。儒家に生まれ清貧に甘んじた菅原道真公をお祀りする一方で、金運上昇を願う金(こがね)神社を同じ境内で合祀しているのですから。
天満宮と金神社はともに江戸時代に創建され、それぞれ尾張藩の安泰(築造地が名古屋城の北東鬼門)と庶民の招福信仰をになってきました。
その2つが合体したのですから怖いものなし。学業向上と金運上昇の2つが同時に約束される神社は、全国的にも珍しいに違いありません。名古屋文化を知る上でもぜひ足を運びたいですね。
◎犬山線
【犬山駅】(特急停車駅)


◎針綱神社、三光稲荷神社 隣接しており、ともに歩いて15分
いまや若い女性たちを中心に「るるぶの街」として有名になった犬山城の城下町。かつて城主らの守護神を祀った両神社は、「愛をはぐくむ神社」として生まれ変わりました。
まずは針綱神社。こちらは戦国時代に城主だった織田信康が篤く信仰したことで知られています。
ただし現在武将として信康は一歩後退し、前面に出ているのは奥さま(?)の安産を願って木彫りの犬を奉納した「よきパパ」です。
この犬の彫り物は現在、レプリカが同神社に祀られているようですが、実にかわいい。信康の人柄が伝わってきます。
信康は織田信長の叔父で、斎藤道三に対する美濃攻めで戦死しました。やっぱりこの人柄は、いくさには向かない。それを実感させてくれます。
一方、三光稲荷神社はピンクのハートの絵馬により一躍全国区の人気を得るようになりました。
同神社は信康だけでなく江戸時代を通じて犬山城主だった成瀬氏が信仰を寄せました。
ご存じのように稲荷社は農業神として崇敬され、祭神はウカノミタマがほとんどです。この祭神と関係が深いのが身辺の世話をするオオミヤヒメで、このことがピンクのハートに結びついたのでしょう。
きっと信康は草葉の陰で苦笑いされていることでしょうね。
◎小牧線
【楽田(がくでん)駅】
◎大縣(おおあがた)神社 歩いて19分
【田県(たがた)神社前駅】
◎田縣(たがた)神社 歩いて5分


この2つの神社は関係が深いので、あえて1つの項目に収めてみました。
まず大縣神社。こちらは古代において同地域で勢力を誇った尾張氏の肝いりで創建され、平安時代後期には尾張の二の宮とされました。
一方、田縣神社は大縣神社の南西約3キロの地にあり、こちらも大縣神社ほどとはいえないものの、かなりの歴史を有しています。
2つの神社の関係の深さを象徴するのが、俗に言う「女陰」と「男根」です。大縣神社には女陰を思わせる巨石が鎮座しており、一方田縣神社にはヒノキ造りの巨大な男根が祀られています。
五穀豊穣と子孫繁栄が基底にあると思われますが、これほど直接的な表現をしている神社は国内広しといえども希有に違いありません。
家族連れの参拝には向かないかも知れませんが、夫婦、カップルで出かければ、いろいろ学ぶところは多いでしょう。
◎津島線、尾西線
【津島駅】

◎津島神社 歩いて15分
津島神社といえば神仏習合が当たり前の中世から近世にかけ東海地方に絶大な影響力を持ちました。神仏分離から150年。初詣を通じてあらためて時代の流れを見つめ直してみたいですね。
祭神の牛頭天王(ごずてんのう)は典型的な習合神で、本地は薬師如来、垂迹はスサノオとされました。この習合形態からわかるように慈悲と力で災禍を取り除いてくれるスーパーマンの位置づけでした。
しかし明治政府が神仏分離令を出して以来、牛頭天王は闇に葬られ、祖霊信仰が中心である各地の神社は「素盞嗚(すさのお)神社」として生き残るほかありませんでした。
そして薬師如来の慈悲を失ったスサノオは武神として崇敬され、軍国主義伸張の一翼を担う存在とされました。
慈悲と武力、この2つのバランスが崩れたとき、われわれは窮地に立たされます。
世界中で紛争が激化しようとするいま、初詣を通じてそのことを考えてみたいですね。
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◆2026年の情報であり、変更される場合があります。


