
■木曽川堤の桜-140年の歴史が生んだ「三冠王」
桜スポットのファンの中で「三冠王」という表現があるのをご存じですか。「国指定天然記念物」「国指定名勝」そして公益財団法人日本さくらの会が1990年に選定した「日本さくら名所100選」のすべてに選ばれることです。
そうです一宮市の「木曽川堤の桜」はみごとこの「三冠王」を達成しました。ほかの4件は北から「桜川のシロヤマザクラ」(茨城県桜川市)、「三波川のフユザクラ」(群馬県藤岡市)、「霞間ヶ渓のヤマザクラ」(岐阜県池田町)、「三多気のヤマザクラ」(三重県津市)となっています。
ここで「三冠」の指定基準を簡単に説明しますと「天然記念物」は学術的に貴重なもの、「名勝」は景観のすぐれたもの、「100選」は一本桜を除外したうえで、多くの人たちに愛されている桜の名所を各県から最低1箇所を選んでいます。
したがって「木曽川堤の桜」は学術的に貴重で景観が素晴らしく、さらにみんなに愛されている全国屈指の桜並木なのです。

まずはどこが貴重でしょうか。そうです。明治18年(1885)、まだ堤防並木に最適とされるソメイヨシノが普及していなか、エドヒガンやしだれ桜にヤマザクラも組み合わせて7キロ区間(1,800本)に渡る並木をつくったことです。史上に残る先駆的な植栽といっていいでしょう。
次に景観。ただ単純に壮観と言うだけでなく、その後に普及したソメイヨシノも加えた「サクラ曼荼羅」は、「喪失と再生の物語」を基調にした日本的な美しさに満ち満ちています。
最後に愛らしさ。雄壮な古樹、老樹と若々しい木々が織りなす140年の協奏曲は、カーニバル的であると同時に、深く静かな魂の音楽でもあります。
ただし次のことは忘れないでおきましょう。江戸時代初期、徳川家康が木曽川の堤防を改修するとき、尾張を守るために氾濫した濁流は美濃側にあふれるようにしつらえました。
「三冠王」は美濃の人たちの苦労の上に成り立った偉業。そのことだけは肝に銘じておきたいですね。

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■基本情報
◆〒491-0135
愛知県一宮市光明寺浦崎21−3
◆入場無料(タワーは有料)
◆駐車場あり(無料)
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毎月第2月曜日(8月・12月を除く、祝日の場合はその後の平日)
◆トイレあり
◆外部サイト
https://www.kisosansenkoen.jp/~tower138/m138event_sakura.html
◆お問合せ先
138タワーパーク
[TEL 0586-51-7105]
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