野依八幡社のしだれ桜 [豊橋市] [花見特集]

力強い幹とたおやかな枝、そして優雅な花びら(2025年3月26日撮影) 豊橋市
力強い幹とたおやかな枝、そして優雅な花びら(2025年3月26日撮影)
純白のみずみずしい花と萌える緑が見る者に力を与えます(2025年3月26日撮影)
純白のみずみずしい花と萌える緑が見る者に力を与えます(2025年3月26日撮影)

■野依八幡社のしだれ桜

勝手な推測が許されるのなら…

 野依八幡社のしだれ桜は、樹齢300年を超すみごとな大樹です。高さ6.1メートル、最大枝張り13.8メートル。樹齢からいえば老境に入っていますが、金剛力士のよう。裂帛の気迫で仁王立ち、全体のバランスもよく、まだまだ意気盛んといったところです。

 このしだれ桜。私は20年以上前から折にふれて足を運んでいますが、なぜこのような桜がここにあるのか、ずっと気になっていました。そこで、ネットを通じていろいろな情報を検索しながら考えてみました。

見る角度によっては天を支えているかのよう(2025年3月26日撮影)
見る角度によっては天を支えているかのよう(2025年3月26日撮影)

 まず、誰が最初にこの場所にしだれ桜を植えたのでしょうか。ヒントは平安時代の中期、ここ野依が伊勢神宮の御厨(みくりや)になったことと関係がありそうです。
 古文書では康和2年(1100年)に御厨が設置され、同じ年に平忠朝が社殿を再建したとあるので、ここから考えていきましょう。
 「平忠朝」をネットで検索すると野依以外ではヒットしません。つまり当時、三河の国は平氏の知行国だったことを踏まえ、源氏の支配に代わった後世、八幡社の尊厳を守るために「平氏ながらあっぱれ、朝廷に忠義を抱いた人物」として名を創作したに違いありません。

 次になぜしだれ桜なのでしょう。それは簡単です。しだれ桜は3月下旬、田植え前に咲くことと、枝の垂れた状態がたわわに実った稲穂が頭を垂れる姿の似ていることから、豊作を願う神の意志の象徴として選んだのでしょう。
 おそらく桜が老境に入り寿命を迎えると、挿し穂などの手段で後継の桜に置き換えたのでしょう。

 私の推測の骨子はこうです。平安時代の後期、伊勢神宮が野依に御厨を設営したとき、統治手段の1つとして野依八幡を建て、ほどなく神宮の関係者を通じてしだれ桜の苗木を植え、以来絶えることなく植え替え続けてきて現在に至る。

 正直、ここまで書き進めると推測というより妄想のような気がしないでもありません。でも、このしだれ桜を眺めていると、ルーツを探ってみたい。そう思わせるものがこの木にはあるのです。

美しいフォルムの屋根を持つ野依八幡社の社殿(2025年3月26日撮影)
美しいフォルムの屋根を持つ野依八幡社の社殿(2025年3月26日撮影)

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ちょっと寄り道


基本情報

◆〒441-8124
 愛知県豊橋市野依町八幡1

◆入場無料

◆駐車場あり(無料)

◆外部サイト
https://www.honokuni.or.jp/toyohashi/spot/000054.html

◆2025年の情報であり、変更される場合があります。

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