■岐阜県 桜の名所100選 その5【飛騨地域】
神々が宿る木
まずはリストを見て下さい。エドヒガンが多いのに気づくでしょう。えっ、たった4カ所じゃないかって?いえいえ、にわか知識ですみませんがアズマヒガンはエドヒガンの別名。そしてしだれ桜は枝が垂れ下がったエドヒガンを指す呼び名なので計9カ所になるわけです。
エドヒガンの名木が飛騨地方に多いのには2つの理由があります。1つはエドヒガンが温帯の中でもやや冷たい地域を好むこと、もう1つは寿命が長く条件が整えば巨木に成長することができることから、人々が信仰の対象として大切に守ってきたからです。

その代表格が高山市一之宮町の「臥竜桜」です。樹高はマンションの7階建ての最上階に相当する20メートル、枝張りは新幹線1両よりも5メートルも長い30メートル。圧倒されますよね。国天然記念物、樹齢は1,100年を超すとされています。
ちなみに国天然記念物の桜は全国で39カ所が指定されていますが、岐阜県の計5件は都道府県別で最多。エドヒガンでは臥竜桜ほか、本巣市の根尾谷薄墨桜が指定を受けています(ほか3件は岐阜市の「中将姫誓願ザクラ」=ヤマザクラ、池田町の「霞間ヶ渓のサクラ」=同、大野町の「揖斐二度ザクラ」=サトザクラ)。

エドヒガンの巨木が多く残る飛騨地域ですが、なかでも高山市の旧朝日村地区には神社や寺院の参道、境内入口を中心に多くのエドヒガン1本桜の巨樹、老樹が残っています。もちろん神社の場合は参道入口に桜を植えたのではなく、桜への畏怖と尊敬の念が神社をそこに建てる機縁になったのでしょう。
同地区では地区の守り神として15カ所もエドヒガンが残っており、ほとんどが夜間のライトアップを行っています。
その代表を2つ挙げるなら青屋地区神明社のしだれ桜と万石地区薬師堂のしだれ桜でしょうか。闇夜に浮かぶその姿には、もし水木しげるさんが生きておられたら手を叩いて喜ぶに違いない―その思わせるほどの妖艶な美しさがあります。
【 飛騨地域 桜の名所 】
所在地 | 名称 | 種類/本数 | 開花 | メモ |
高山市 | 荘川桜◆ | アズマヒガン/2本 | 4下旬 | 御母衣湖畔。県天然記念物 |
高山市 | 臥竜桜 | エドヒガン/1本 | 4中旬 | 樹齢1100年超。国天然記念物 |
高山市 | 城山公園の桜 | ソメイ/700本 | 4中旬 | 高山城址公園は森林浴の森100選 |
高山市 | 中橋周辺の桜◆ | ソメイ/200本 | 4中旬 | 高山陣屋のすぐ東 |
高山市 | 宮川緑地公園の桜 | ソメイ/200本 | 4中旬 | 斐太高校の南。河川敷に植栽 |
高山市 | 江名子川沿いの桜◆ | ソメイ/100本 | 4中旬 | ライトアップは幻想的 |
高山市 | 薬師堂の枝垂れ桜 | しだれ桜/1本 | 4中旬 | 樹齢200年。満開になると滝のよう |
高山市 | 桜野公園◆ | ソメイ/150本 | 4上旬 | 南北朝期、吉野から移植の伝承 |
高山市 | 青屋神明社の枝垂れ桜◆ | しだれ桜/1本 | 4下旬 | 県内のしだれ桜の中で最大級 |
高山市 | 飛騨護国神社の桜 | ソメイ/数十本 | 4中旬 | 古都らしく春風になびく風情 |
飛騨市 | 真宗寺の桜◆ | ソメイ/数本 | 4中旬 | 寺の屋根バックに桜 |
飛騨市 | 千代の松原公園の桜 | ソメイ/数十本 | 4中旬 | 山々の残雪が桜に映える |
飛騨市 | 荒城川沿いの桜 | ソメイ/数百本 | 4中旬 | 地元住民が熱心に保護 |
飛騨市 | 御所桜(ごしょざくら)◆ | ソメイ/数十本 | 4中旬 | 夜は水張り田に妖艶な姿 |
飛騨市 | 西光寺のしだれ桜◆ | しだれ桜/1本 | 4中旬 | 樹齢800年超。荘厳な姿 |
飛騨市 | 慈眼寺の「鎮護桜」 | エドヒガン/1本 | 4中旬 | 県天然記念物。雪の重みに耐え350年 |
下呂市 | 苗代桜◆ | エドヒガン/2本 | 4上旬 | 樹齢400年の姉妹桜。県天然記念物 |
下呂市 | 浄福寺のしだれザクラ | しだれ桜/1本 | 4中旬 | 「遊女桜」の愛称。樹齢200年 |
下呂市 | 岩太郎のしだれ桜◆ | しだれ桜/1本 | 4上旬 | 土手のり面で踏ん張る根性桜 |
下呂市 | 下呂駅周辺の桜 | ソメイ/数十本 | 4上旬 | 駅周辺にまとまって咲く |
白川村 | おおたザクラ | 大島桜系/1本 | 4中旬 | 樹齢200年。白川郷の本覚寺 |
※◆は夜間ライトアップあり。
◆2025年の情報であり、変更される場合があります。