■愛知県 桜の名所100選 その6【東三河】

戦後復興のシンボル「桜」
愛知県内で東三河ほど、桜が戦後復興を象徴している地域はありません。
まずはかつて「軍都」と呼ばれた豊橋から。豊橋公園、向山緑地公園、岩屋緑地は地元では「花見トップ3」といわれていますが、それぞれ太平洋戦争中は歩兵十八連隊の営舎が、向山緑地には工兵第三連隊の演習地が、岩屋緑地には米軍機空襲の備えた高射砲の陣地が置かれていました。
戦後、これらは軍都からの決別の意を込めてたくさんの桜が植えられたようです。

戦後復興のこころざしは同じですが、豊川市の場合は少し事情が違います。たとえば市役所北側の「桜トンネル」は豊川海軍工廠の開設に伴って1941年に植樹されました。
戦争の記憶を断ち切りたいと、伐採の声もありましたが、同工廠は戦争末期の大規模空襲により約2700人が命を失いました。桜並木はそれら多くの人から愛されており、鎮魂の意味でもたいせつにしていこうの声が上回ったということです。
一方、佐奈川や音羽川の桜並木は直接には戦争とは関係ありませんが、ともに戦後復興の一環として行われた護岸堤防の整備に伴って植えられました。
愛知の桜名所100選を閉じるに当たってぜひ取り上げたいのが。名倉川のコヒガンザクラ桜並木(設楽町)です。
山すそを流れる清水川に沿って約1.2キロにわたって続く並木道に30年前、地元消防団OBの方たちが「多くの人にうるおいを」と植樹し、以来地元の人たちが世話をしてきました。
「過疎に負けるな」、そんな想いを込めて見に行って下さい。
【 東三河 桜の名所 】
所在地 | 名称 | 本数 | 開花 | メモ |
豊橋市 | 豊橋公園◆ | 500本 | 3下旬 | 吉田城址を整備 |
豊橋市 | 向山緑地公園◆ | 1000本 | 3下旬 | ファミリー向け |
豊橋市 | 岩屋緑地公園◆ | 500本 | 3下旬 | 入口に桜トンネル |
豊橋市 | 野依八幡社◆ | 1本 | 3中旬 | 樹齢350年のしだれ |
豊川市 | 佐奈川堤◆ | 650本 | 3下旬 | 菜の花と共演 |
豊川市 | 諏訪の桜トンネル◆ | 270本 | 3下旬 | 屋台も並び活気 |
豊川市 | 音羽川の桜並木 | 600本 | 3下旬 | 河川敷からも眺望 |
豊川市 | 御津山園地◆ | 150本 | 3下旬 | 桜越しに渥美半島 |
蒲郡市 | 西浦園地◆ | 300本 | 3下旬 | 三河湾を眺望 |
蒲郡市 | 中央公園◆ | 600本 | 3下旬 | ゆったりと花見 |
蒲郡市 | 春日山◆ | 300本 | 3下旬 | 形原神社の境内地 |
新城市 | 桜淵公園 | 2000本 | 3下旬 | 東三河最大規模 |
新城市 | 愛知県民の森 | 500本 | 3下旬 | ヤマザクラも堪能 |
田原市 | 滝頭公園 | 1000本 | 3下旬 | 周辺の山桜と一体 |
田原市 | 免々田川(めめだがわ) | 300本 | 2下旬 | 河津桜と菜の花 |
設楽町 | 八橋のウバヒガン | 1本 | 3下旬 | 町指定天然記念物 |
設楽町 | 名倉川の桜並木 | 100本 | 4上旬 | 田園風景とマッチ |
設楽町 | 津具川の桜並木 | 300本 | 4中旬 | 清流を5キロに渡り |
東栄町 | 大千瀬川の桜 | 100本 | 4中旬 | 遊歩道も情緒あり |
東栄町 | 旧中央小学校 | 数十本 | 4上旬 | タンポポと共演 |
豊根村 | 熊野神社◆ | 2本 | 4上旬 | しだれと江戸彼岸 |
※◆は夜間ライトアップあり。
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◆2025年の情報であり、変更される場合があります。