■岐阜県 桜の名所100選 その2【西濃地域】
西濃地方は揖斐川流域の2市9町で構成されており、県内では京都や奈良に比較的近い地域と言うこともあってか、都との関わりを示す伝説的な桜が多いのが特徴です。

まずは揖斐川町の華厳寺です。ここは近畿の2府4県の観音菩薩を巡る「西国三十三所」のうち唯一近畿の外から選ばれ、しかも結願寺とされています。
華厳寺には中世、都から天皇や上皇もお参りに来ており、都とのつながりの深さがしのばれます。毎年1㌔にも及ぶ参道の両わきにはソメイヨシノがうららかな春風にそよぎます。
養老公園(養老町)の桜も外せません。ここは奈良時代前期、女性の元正天皇が訪れた際、養老の泉に「これは長寿の水」と感激して元号を霊亀から養老に変えたという逸話が残っています。いまや3,000本の桜が咲きほこる県内屈指の公園です。

夜叉姫の伝説が残る神戸(ごうど)町の「夜叉堂の河津桜」も加えてみましょう。夜叉姫は大和の三輪山伝説にルーツを持つ、ヘビ嫁婚の系統で、神戸町の場合は日照りに苦しむ村に旅の僧がやってきて、地元の長者に「娘を嫁にくれれば雨を降らす」と約束し、雨を降らした後にヘビの姿で現れるというものです。
面白いのはここからで、娘はヘビの正体を知りながら「約束ですから」と毅然としてヘビに付き従って妻になります。平安時代から鎌倉時代にかけて成立した話でしょう。とても奥の深い話です。
桜の花そのものが大好きという人には大野町の「揖斐二度ザクラ公園の桜」がお勧めです。ここで二度というのは春と秋の二度ではなく、1つの花が間髪入れずに2度咲くという意味です。
花全部ではありませんが一部の花では、最初に一重の花が咲くと花の盛りに次の花のつぼみが花芯に生まれ、続いて八重の花を咲かすというもので国の天然記念物です。ぜひどうぞ。
【 西濃地域 桜の名所 】
所在地 | 名称 | 種類/本数 | 開花 | メモ |
大垣市 | 墨俣一夜城址公園◆ | ソメイ/800本 | 3下旬 | 輪中の中に模擬天守 |
大垣市 | 奥の細道むすびの地 | ソメイ/100本 | 3下旬 | 芭蕉をしのぶ記念館も |
海津市 | 大榑川(おおぐれがわ)の桜◆ | ソメイ、里桜/1000本 | 3下旬 | 8キロ。ソメイに続き里桜 |
海津市 | 羽根谷だんだん公園 | 八重桜、ソメイ/1600本 | 4上旬 | 八重桜だけで1000本 |
養老町 | 養老公園の桜 | ソメイ/3000本 | 3下旬 | 桜は養老の滝の散策路に |
垂井町 | 相川水辺公園の桜 | ソメイ/200本 | 3下旬 | 伊吹山の冠雪をバックに |
関ヶ原町 | 伊吹山ドライブウェイの桜 | ソメイ/数百本 | 4上旬 | 伊吹山の麓から中腹にかけ |
神戸町 | 輪中堤の桜◆ | ソメイ/700本 | 3下旬 | しだれ桜や八重桜も |
神戸町 | 夜叉堂の河津桜 | 河津桜/20本 | 3下旬 | 夜叉姫の伝説が残る |
輪之内町 | 本戸輪中堤の桜 | ソメイ/700本 | 3下旬 | 輪中堤の桜トンネル |
安八町 | 中須川千本桜 | ソメイ/1000本 | 3下旬 | 中須川の両岸3キロに及ぶ桜並木 |
揖斐川町 | 谷汲山華厳寺の桜 | ソメイ/300本 | 4上旬 | 参道に沿って桜のトンネル |
揖斐川町 | イビデン東横山発電所の桜 | ソメイ/100本 | 4上旬 | 道の駅「ふじはし」から眺望 |
大野町 | 花田川桜ロード | ソメイ/数百本 | 3下旬 | 花田川沿いの桜並木 |
大野町 | 揖斐二度ザクラ公園の桜 | 二度桜/4本 | 4中旬 | 1つの花が二度咲き。国天然記念物 |
大野町 | 三水川(みみずがわ)桜ロード | ソメイ/数百本 | 3下旬 | 菜の花との共演も楽しめる |
池田町 | 霞間ヶ渓(かまがたに)◆ | 山桜が中心/1500本 | 3下旬 | 桜の名所100選&国名勝 |
※◆は夜間ライトアップあり。
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◆2025年の情報であり、変更される場合があります。