■東海地方最大級の白鳥庭園
ボランティアガイドさんに感激
6月上旬、名古屋市熱田区の白鳥庭園を訪ねました。訪問は昨年秋に続いて2回目。前回は紅葉こそ楽しめましたが、東海地方最大級(約3.7ヘクタール)という広い敷地に翻弄され、どこを歩いたのかさえ定かではなく、全体像を結べませんでした。
今回は幸運でした。「よかったら案内しましょうか」。中央門に入ると女性のボランティアガイドさんが声をかけてくれました。森雪代さんとおっしゃる方でした。

森さんへの最初の質問は中央門から園内に伸びる通路に関して。左側には針葉樹に覆われた築山、右側は6メートル以上もありそうな生け垣。前回、もっとも気になっていた場所です。
「築山は木曽の御嶽山。生け垣は京都・銀閣寺の垣根を模したものですよ」の一発回答でした。
さらに御嶽山には木曽五木(ごぼく)が植えられているとのこと。五木は、ヒノキ、サワラ、アスナロ、ネズコ=以上ヒノキ科、コウヤマキ(コウヤマキ科)だそうです。
一方、三層構造の生け垣は通称「銀閣寺垣」とよばれる生け垣で、石垣、低木、高木で構成され、臨済宗寺院で用いられる生け垣の1つだそうです。
森さんによると白鳥庭園の設計を行った吉村元男さんは、生粋の京都人でこの生け垣には「京都を愛する吉村先生の思いがこもっています」と語ります。
続いて築山に上ります。山頂の背後に回ると滝が設けられています。滝といっても優美な姿や豪壮な姿ではありません。ごつごつとした岩肌を峻烈な水が流れ下る。「御嶽山から流れ出る木曽川の源流を表したものですよ」と森さん。


ここからは木曽川を下る旅です。途中、木曽川の代表的な景勝地「寝覚ノ床」(長野県上松町)も設けてあります。
「皆さんにぜひ体感していただきたいのは竹林わきの水琴窟です」とおっしゃいます。複数の水琴窟が設けてあり、長い竹筒でそれぞれの音を拾う趣向です。異なった三種の澄んだ音を体感してみると、なんといもいえない至福の感覚が湧いてきます。「ねっ、素晴らしい音色でしょう」


木曽川の旅も最後は伊勢湾近くへ。さすがにこれは遊び心でしょうが、上流から織田橋、豊臣橋、徳川橋と愛知の三英傑にちなんだ木橋が架けられています。
そういえば織田信長は木曽ヒノキを使って安土城を築城したほか、秀吉は戦国時代における築城や造船に大量のヒノキが必要なのを見越して木曽を直轄領としたことを思い出しました。
家康も清洲から名古屋に尾張の中心地を移すに当たって、木曽ヒノキを重要な建築資材として活用しました。


最後に森さんは大切なことを教えてくれました。「白鳥庭園は伊勢湾台風(1959年)の氾濫跡地を活用したのですよ」と。
尾張地方を中心に県内だけで約3,200人が亡くなった伊勢湾台風。白鳥貯木場から流出した木材は高潮に乗って市街地を襲い、多くの犠牲を出したといいます。
そう考えると白鳥庭園は木曽川と伊勢湾をテーマにした「大規模な池泉回遊式日本庭園」というキャッチフレーズで収めてはいけないという気分にさせられます。
さらに木曽と尾張の関係を考えると、いつか妻籠宿で聞いた言葉が甦ってきました。「木曽の山の木は私たちの祖先が一生懸命に手入れをした。でも、結局は尾張を潤すだけでした」


森さんは若い頃から合唱団に入り、ベートーベンの第九の合唱を得意としてきたそうです。「昔はソプラノだったけど、いまはアルトですよ」。
その澄んだ響きのガイドはとても聞きやすく、心に染みました。ありがとうございました。

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■基本情報
◆〒456-0036
名古屋市熱田熱田西町2-5
◆入園料 大人300円 (名古屋市在住の65歳以上の方100円)
◆駐車場あり(普通車500円/回)
◆名古屋市営地下鉄 名城線 「熱田神宮西」駅4番出口から、徒歩で約10分
◆トイレあり
◆休園日 月曜日
(月曜日が祝日の場合はその翌日、12/29~1/3)
◆開園時間 9:00~17:00
(入園は16:30まで)
◆外部サイト
https://www.shirotori-garden.jp/
◆お問合せ先
白鳥庭園管理事務所
[TEL 052-681-8928]
◆2026年の情報であり、変更される場合があります。
