■詩仙堂の紅葉
戦国時代の血気盛んな若者が、大坂夏の陣で豊臣家が滅びると突然に刀も槍もよろいも捨て浪人になりました。
学問にも造詣が深く、仕官の道はいくつもあったのに、「病気の母の療養費が必要な限り」という動機のみで藩勤めをしました。
そして母が旅立った後は、迷うことなく隠居生活に入り、高齢で亡くなるまで京都の山深い土地で読書と詩作の日々を送りました。
これが詩仙堂の主人だった石川丈山です。
丈山は、とても魅力的な庭をつくりました。庭の前面は枯山水。そこでは穏やかな白砂の背後を、中国の山並に見立てたサツキの植え込みがぐるりと取り囲んでいます。
多くの作庭家はこれで満足するでしょうが、丈山は違います。庭の背後に、「もう一つの庭」ともいうべき、空間をしつられました。
主役はびっしりと植えられたモミジたちです。晩秋から初冬にかけてモミジたちは真っ赤に燃え盛り、裏山の緑と一体となって前面の庭(枯山水及びサツキの植え込み)をまるで箱庭のように浮き上がらせます。
言葉は悪いのですが、まるでモミジたちが箱庭の山々を焼き尽そうとしているかのようです。
案内書によると、詩仙堂からは40キロメートル以上も離れた大阪城が望めたそうです。というよりも山荘をつくるにあたって大阪城が望める土地を選んだとされています。
大坂夏の陣で大阪城は焼け落ち、豊臣家は滅びました。ひょっとしたら丈山は自分の人生を裁断することになったこの戦いを忘れないために、このような庭をつくったのかもしれませんね。
アクセスは、市バス「一乗寺下り松町」下車 徒歩約7分、叡山電車「一乗寺駅」下車 徒歩約15分。開門時間は午前9時~午後5時、拝観料は大人700円。
■アクセス
◆〒606-8154
京都市左京区一乗寺門口町27番地
◆拝観料700円
◆市バス「一乗寺下り松町」下車 徒歩約7分
叡山電車「一乗寺駅」下車 徒歩約15分
◆開門時間 9:00~17:00
(受付終了16:45)
(拝観休止日 5月23日)
◆詳細ページ
https://kyoto-shisendo.net/
◆お問合せ先
曹洞宗 六六山 詩仙堂 丈山寺 凹凸窠
[TEL 075-781-2954]
[https://kyoto-shisendo.net/contact/]
◆2024年の情報であり、変更される場合があります。